『小笹綾子』の詩的ギャラリー

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  • 「流砂」
      • (ひ)にかざした 手のひらから

        はらはらと 落ちたもの

        やさしげに 待ちながら

        さらさらと 流したもの

        風はゆるやかに 私の形を浸食してゆく



        月が照らした 瞳(め)の奥から

        ほろほろと 溢れたもの

        さびしげに 背をむけながら

        しずしずと 去ったもの

        時はひそやかに 私の記憶を翳めてゆく





  • 「波」
      • みていた

        水面(みなも)をみていた。

        もう 悲しまない。

        清水(しみず)湧くところ

        あのひとが教えてくれた風。

        もう 悲しくない。

        みていた

        彼方をみていた。

        もう 挫けない。

        光在るところ

        あのひとが教えてくれた花。

        もう 立ち止まらない。

        音のない道

        解き放たれる存在(わたし)

        そう 答えのない渦から。


        知っていた

        すべて知っていた

        あなたの残した 温もり。

        あなたの残した 冷たさ。



        繰り返す 過ちに

        寄せて返す 痛みに


        あなたの刻んだ その意味を。

小笹綾子/紫音

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